介護は夢もある仕事
前編に引き続き、ネガティブな話を繰り広げてしまうので、その前に「介護は夢もある仕事ですよ」という説明を少しさせてください。5年ほど前に生活相談員を希望する男性の転職をサポートし、その転職はベストマッチングで大成功しただけでなく、その男性は入社された介護施設(特養)で大活躍をされ、今では副施設長になり、年収は入社時点から?倍になったそうです。?は整数で、1でも3でもありません。
なんだお金の話かよ、と思われてしまいそうですが、並のサラリーマンよりもかなり高い収入をもらえる場合があるというだけで、かなり意外ではないでしょうか。もちろん、もとから優秀な方が大変な努力と工夫をされ、成功したケースではあります。(ご案内の当時が30代の後半で、現在が40代の前半の男性です。)
利用者様も同僚も大事にして、思いやりと熱いハートで感謝される仕事。そんな素晴らしい介護の仕事について、男性が介護業界へトライする際の鉄則。事前に大丈夫そうかお聞きしておきたい「未経験男性の早期離職になりやすいポイント」(後編)をご説明いたします。
⑥夜勤で体調を崩す
これは男女ともにある話ですが、大事なポイントなのでご紹介します。夜勤がとりわけ落とし穴になりがちなのは、すぐに経験できないことです。入居者さんが365日、生活している入所系の介護施設で、働き始めて3ヶ月〜6ヶ月ほど(最も早くて2ヶ月目)経過して業務を覚え、入居者さんのことを覚えてからようやく先輩職員につく形で夜勤業務が始まります。
夕方16時ごろから翌朝の10時ごろまでの18時間、間に2時間の休憩を挟む形で2日分の勤務を一気に通しでこなします。食事介助、就寝介助、お部屋を1つ1つ回って異常がないかの巡視、おむつ交換、トイレ誘導、起床介助、等を行います。この長い夜勤の場合、月に4回〜6回シフトに組み込まれます。(施設によっては、夜22時〜翌朝7時で間に1時間の休憩という短い夜勤の場合もあります)
もちろん夜勤に入っても概日リズム睡眠障害(体内時計が崩れ、不眠や倦怠感などの体調不良を起こす)が起きない人も多くいらっしゃいます。夜勤を体験してみないと確かめようがないのも厄介です。せっかく業務を覚え始めた3ヶ月〜6ヶ月になって、夜勤が体に合わないからムリ!とならないよう、慎重にご判断ください。
尚、外が明るい日中に眠れない場合は、遮光カーテン等を駆使して部屋を暗くして眠るか、あるいは夜勤明けの日はそのまま無理のない範囲で活動し、長い夜勤の明けの日の翌日は原則としてどこの施設でも公休なので、夜になってから眠るようにして翌日の公休でしっかり体を休める、という対策もできます。
夜勤に入れば1回ごとに3,000円から10,000円(夜勤の長さ・施設の体制によって違う)の夜勤手当も出ますので、慎重に考えつつも、前向きにご検討されるのも手かもしれません。
⑦同性介助を希望され居づらくなる
④の説明と重なりますが、入居者さんの8割以上が女性であり(女性の平均寿命が長いから)お風呂介助や、排泄介助にて「男性からの介助は避けたい、女性の介助を受けたい」という、同性介助を求めるお声が一部にあります。若い男性に対しては子供や孫の感覚で羞恥心が発生しにくく、年齢が近くなっていくにつれて羞恥心が発生しやすいです。
手慣れていれば拒否も発生しにくいかもしれませんが、不慣れだと何かのきっかけに強い拒否が発生してしまうこともありやすいと聞きます。そんなときに誠心誠意の姿勢で、粘り強く努力することができれば、その心の壁は突破できるとも聞きますので、希望はあります。しかし中には、心が折れてリタイアされてしまう方がいるのも事実です。
ただし、介護度が高いと羞恥心は発生しにくいという側面もあります。特養や老健といった平均介護度が高い施設の場合です。(※介護度=介護が必要な度合い。最大が5。5は寝たきりの割合が高い。)
⑧給与が思った以上に伸びず…
お給料がどれくらいか、正確にイメージできないまま就業し、数ヶ月や1年ほどしてから思った以上に少ないと感じて退職される方が、男性の場合の方が多いと感じます。
最初の2ヶ月は処遇改善手当という国からの給付がお給料に反映されない場合があって月給が2〜3万円低く、さらに夜勤手当も3〜6ヶ月、反映されませんから、2〜3万円低く、辛抱しないといけない期間が入社して数ヶ月続きます。そもそもお給料が翌月支給の会社であれば初月はゼロ円です。これらをイメージしないまま入社して、これじゃ困ると早期離職される方がたまにいらっしゃいます。
さらに賞与が年2回のうち、最初の賞与は在籍月の算定の関係で寸志になることがほとんどです。年次昇給は施設によって差はありますが、0円〜5,000円(月の基本給)程度まで様々です。(ただし全くの0円というケースは少数派ではあります)こういったことを経験していくうちに、将来設計に悩み、業界を離れてしまうのは、これまでどちらかというと男性の方が多かったです。
もちろん、女性の社会進出、ジェンダーフリーが時代のキーワードになっている昨今、男女同じ割合のケースになっていくかもしれません。
⑨喫煙不可の施設が増えて業界を諦める
施設の敷地内が完全禁煙で、喫煙所がなく、さらに休憩時にちょっと外へ行ってタバコを…というのも近所迷惑になるので控える方針の施設が増えています。もちろん、喫煙所がある施設もあるので、そこで働けば愛煙家の方も介護業界でご活躍いただけます。
しかし、何らかの事情で転職し、他の介護施設で働こうと思ったときに、喫煙不可の施設が増えている以上、働ける先の選択肢が少なく、介護業界を断念するというケースをこれまで稀にお見かけしました。喫煙率は男性の方が高いので、とりわけ男性が知っておいたほうが良いテーマです。
施設職員の男性割合が5割近い施設も
①〜⑨の説明をしてきましたが、介護業界は、男性が必要とされていない業界というわけではないのです。男性スタッフが5割近いという施設さんもございます。それに介護技術だけではどうにもならず、腕力などがないとクリアできない場面も介護の現場ではありますので、今は男性を増やしたいとおっしゃる介護施設さんもあります。
しかしながら、働いてみたものの①〜⑨など何らかの理由で早期離職されてしまうと、職歴も傷ついてしまいかねませんし、仲間として受け入れていた施設側もショックを受けます。その意味で、この記事が未経験から介護業務に挑戦しようとされている方の、ご検討の助けになりますと幸いです。
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