小論文がある面接は5%程度。でも…
面接を受けた際、適性検査(性格検査・能力検査)は急にやると言われると動揺する代表例ですが、性格検査は素直に答えれば良いと思いますし、能力検査は対策が大変なので、事前にあると知っていても結果はそこまで変わらないからいっか、と思えそうです。
しかし「400字1枚〜2枚程度で、チームワークについてあなたの考えを書いてください」というような小論文については「事前に知っていたらあんなアホな回答をしないで済んだのに!」と後悔しそうです。人によって非常に差がつきやすい、という特徴もあります。
これまで1000回以上の面接同行で、小論文があったのは50回を少し超える程度。概ね20件に1件ほどのペースでした。同行のたびにシンプルな方法をお伝えし、たまたまかもしれませんが、内定が出なかったことは記憶にありません。3分ほどで準備万端。頻出でないものの、出たら差がつく!知っておくべき当テーマ。ぜひご参考ください。
どんな小論文テーマにも使える常勝法
「○○について」
「○○についてあなたの考えを書いてください」
「○○について必要なことを3つ書きなさい」
だいたいが上記のように「○○」というテーマが何かあって、それに対して○字以上とか、原稿用紙○枚とか、分量が決まっているのが作文・小論文ですよね。面接でも、何かのコンクール、学校の課題でも一緒です。(※面接だと、文字量の細かい指示は無い)
たとえば夏休みの読書感想文、懐かしいですね。この場合は「その選んだ本」がテーマ。そしてよくある失敗が「本を最後まで読んでない」「自分が面白いと感じる本を選んでいない」「本の内容や印象ばかり書いてあって個性がない」この3つです。恥ずかしい話、私もその3つの失敗の常連でした(笑)
全国コンクール優秀作には1つの共通点があります。現時点で最新、第66回の総理大臣賞の小学校1年生の涙なしには読めない「パパからのおくりもの」。この小学1年生の卓越した作品でも共通でした。冒頭から胸を締め付けられる一文…。ご紹介します。
「ぼくのパパは6がつにびょうきでてんごくにいきました。もうパパにあえなくなってかなしくてなみだがいっぱいでました。」
青少年読書感想文全国コンクール 第66回内閣総理大臣賞 受賞作「パパからのおくりもの」
つまり、本に関係する『自分にしかない実体験に触れている』。これがコンクール優秀作の共通点です。例とするこの作品があまりにも悲しく衝撃的で、常勝法!というトーンになじまないのですが、短い平易な文で、人の心を打つ悲しさと純粋さで完成されていたので、ご紹介させていただきました。
冒頭から涙が…(´;ω;`)引用文のカッコ内に参照元のリンクを貼っていますので、お時間があれば全文をご覧ください。
面接の作文・小論文でも同じです。「○○」という課題として出されたテーマについて、テーマに関係する『自分にしかない実体験に触れて説明する』がゴールです。
文の全体の流れでの常勝法
文の巧拙や、細かいテクニックは別として、文の全体の流れで押さえるべき常勝法があります。面接で「作文・小論文を書いて下さい」として渡される時間は20分〜30分程度です。文章量にして400〜800字程度。この文量で最もまとまりが出るのが3段落にまとめる方法で、以下の3段落です。
1.テーマにつながる簡単な自己紹介(きっかけ・経緯の説明)
2.テーマに対する回答(結論)を述べ、その根拠となる実体験を説明
3.上記2を踏まえて、今後の自分自身の展望を述べる
文章の量は均等ではなく、2がメインです。2の厚みがないと、薄っぺらくなってしまいます。1は書き手のイメージを持ってもらうための導入。3は締めくくりの美しさ、余韻を作るためのものです。なので1と3は短くても問題ありません。下の方に、2つの作成例も載せていますのでご参考ください。(ジャンプボタンも、このすぐ下に設置)
文章量のマナー
面接では、用紙を渡され、作文・小論文のテーマが説明されるだけで「何文字以上は書いてくださいね」といった文章量についての説明がされることはありません。(事前の課題などは別。面接のその場で、即興で書かされるケースで「これだけの量を書いて」というのは無いはずです)
たいてい用紙を1枚か、多くても用紙2枚を渡されるだけです。4百字詰め原稿用紙を渡される場合よりも、A4のコピー用紙に、ノートのように細い横線か縦線がガイド線として十数本、印刷してあるだけのものを渡される場合が多いです。
面接官に「どれくらい埋めるべきですかね?」と照れながらこっそり聞いても「特に指定は無いですよ」と言われるだけです。(これまでの多くの経験談)
でも原則があります。
用紙が1枚なら『四分の三より多く』です。
用紙が2枚なら『少なくとも1枚以上』。時間に余裕があれば2枚目の半分が理想のラインです。
理由は、見栄えの問題で、それ以上文章が短いと、応募先企業への志望意欲が低いとみなされる可能性があるからです。
さて、面接に同行した際に、3分ほどで説明する内容は以上です。面接前は時間が限られるので、以上のことを例など省き、ざっくりと趣旨だけ説明しています。時間があれば追加で説明したい内容が以下です。ぜひこちらもご参考ください。
文を書き始める前にやるべき手順
面接での作文・小論文は手書きで、しかも即興で書かないといけないので、焦って書き始めてしまう人が多いです。しかし、登山ルートも考えず道のない山を登ると遭難しますので、文を書き始める前に以下のステップをオススメします。
1.出されたお題(テーマ)について、関係する実体験を思い出す
2.実体験から○○ですよ!とテーマに対し回答できそうな結論を考える
3.用紙の裏などにメモできそうなら1と2をメモし、文を作れそうか考える
上記の3のステップでいけそう!と思ったら3段落で書き始めて下さい。
段落①:テーマにつながる自己紹介(きっかけ・経緯)
段落②:テーマに対する結論を述べ、根拠となる実体験を説明
段落③:上記②を踏まえて、今後の自分自身の展望を述べる
考えを整理して、分かりやすく説明できるかどうか。そしてその説明するために必要な知識・経験を持っているかどうか。説明内容に、マナーやモラルが感じられるか。およそこんなことが評価のポイントです。なので、何も考えずに書き始めるのは事故のもと。オススメできません。
作成例1:チームワークについて
段落①:テーマにつながる自己紹介(きっかけ・経緯)
私は父と母、姉と私の4人家族に生まれました。父と母は共働きで家にいないことが多く、家のことを姉と協力して手伝う必要がありました。姉も私も小学生のころから熱心に剣道に打ち込んでいましたので、時間に余裕もありませんでした。最初はよく、手伝いの分担を巡ってケンカしたものです。私がチームワークの重要性を学んだのはこの頃が最初でした。次第にうまく協力でき、ケンカも減りました。
段落②:テーマに対する結論を述べ、根拠となる実体験を説明
私は、チームワークとは「相手の意見を聞き出す、そして納得できるルールを作り、それを見直し続けること」だと思っています。前職での6年のうち、支店長・課長をトータル3年半ほど行っていました。チーム内の分担をこちらだけで決めても意欲や協力が生まれないことを何度も失敗しながら学びました。聞いているポーズだけではダメです。ミーティングを開き、意見を一人ひとり必ず引き出し、ルールに取り入れることで全員が生きると知りました。そして不都合を感じたらルールを皆で修正すること。この繰り返しで強いチームが生まれました。
段落③:上記②を踏まえて、今後の自分自身の展望を述べる
組織に属していると、チームは何度も変わります。そのたびに、今までのルールや経験を生かしながらも、最初から作り直すつもりでやらなければ強いチームワークは生まれないと思っています。今後もこの思いを大事にして、強いチームづくりを行い、組織に、社会に貢献していきたいと考えています。
(以上、572文字)
余談:実際は、家事はもっぱら働きながらも母がやってくれて、手伝いはしていたものの、姉と私はかなり剣道に打ち込める環境で育ちました(^_^;)大学で一人暮らしをして、母の偉大さを知り、改めて感謝したものです。
限られた面接の時間の中、文章の流れをスムーズにするために、正確なニュアンスにこだわり過ぎないことも重要だと思っています。
作成例2:介護で重要だと思うこと
(介護業界A子さんの例)
実は、介護業界で働いてみようと思ったきっかけは、なんとなくニーズをよく耳にするからという安易なものでした。私は祖父母と離れて育ち、幼少期から里帰りは毎年していたものの、祖父母が入院や、介護施設に入るという話になるころには、既に私も社会人。かなり足が遠のいていて、介護が何かを見る機会はありませんでした。つまり、介護について知識ゼロの状態です。
そんな私がいきなり介護業界へ転職したので、とまどいの連続ばかりで、同僚にも入居者様にも迷惑をおかけし、何度も異業種にまた転職したいと思っていました。そんな私に転機が訪れます。入居者様の中に、私の祖母に少し似ている方がいらして、何かを察したのか、その方からすごく気に入っていただけたのです。入浴介助は私にしてほしいな、なんてことをよくおっしゃいました。すると世界が全く違って見え始めたのです。仕事に前向きになれ、技術も一気に伸びました。介護で重要なのは、まず利用者様を知り、好きになり、そして好きになってもらうことだと私は学びました。
正直、今でも毎日、仕事でツライことはたくさんあります。体力的にも精神的にも辛いと思います。看取りの悲しみにも耐えられないと何度も思いました。それでも、価値ある大事な仕事だとはっきり思います。これからも利用者様を知り、好きになることを何度もきっかけにして、壁を乗り越えていきたいです。
(以上、578文字)
余談:過去に転職をサポートした多くの求職者さんの言葉や経験談に導かれて、イメージされたA子さんならこう書くはず、というのをモデルケースとしました。
弊社は事前に小論文の有無を調べます
最後に余談なのですが、弊社が転職をサポートする場合、応募先となる企業さんに前もって確認し、面接以外に小論文などの選考があるか調べ、求職者さんにお知らせしています。たいてい、小論文のテーマも事前に教えてもらえます。
なので、より安心して準備したい場合にもお力になれるかと思います。弊社がご案内した応募先でなく、ご自身で応募した企業さんであっても、全く他の求職者さんから聞かれているという前提でお調べすることもできますので、気軽にお申し付けください。
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